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Web制作会社が納品後のクライアントサイト品質を継続監視する方法

納品後にクライアントのCMS操作ミス・改ざん・意図しない変化を早期検知し、保守品質を高めながら追加受注につなげるWebサイト監視の実践ガイド。

|12分で読めます

納品3ヶ月後に「サイトがおかしい」と連絡が来る理由

制作会社とクライアントの間でよくあるやりとりがある。

納品から3ヶ月後、クライアントから「なんかトップページの見た目が変わってしまっている」「問い合わせフォームが動かない」という連絡が入る。調べてみると、クライアントがCMSのブロックエディタを触って意図せずレイアウトを崩していた——というケースだ。

この種の問題は、クライアントが「操作した」という自覚を持っていないことも多い。新着情報を1件追加しようとしただけなのに、誤って別のブロックを削除してしまっていた、ということが実際に起きる。

問題の本質は「変化への気づきの遅さ」にある。クライアントから報告が来た時点では、すでに何週間も問題ある状態が続いていた可能性がある。その間、問い合わせの機会損失が発生していたかもしれない。

納品して終わり、ではなく「変化に気づく仕組み」を持つことが、制作会社のサービス品質の差別化になる。本記事では、納品後サイトの継続監視を実務として取り入れる方法を解説する。


納品後サイト品質管理の3つの落とし穴

1. CMSを渡した瞬間にコントロールを失う

WordPressやCraft CMS、Shopifyなど、現代のサイト制作はクライアントが自分でコンテンツ更新できることを前提に作られる。それ自体は正しいが、「操作の自由度」と「制作意図からの逸脱リスク」はトレードオフの関係にある。

ページビルダー系のCMSは特に要注意だ。視覚的に操作できる反面、ブロックの削除・移動が容易で、意図しない見た目の変化を起こしやすい。マニュアルを渡したとしても、数ヶ月後にはその存在すら忘れられていることが多い。

2. 改ざん・セキュリティインシデントへの検知が遅れる

CMS(特にWordPress)はバージョンアップやプラグイン更新を怠ると、改ざん被害のリスクが高まる。問題は、改ざんが発生しても「クライアント自身が気づかない」ことだ。

ヘッダーやフッターにスパムリンクが挿入されても、ページ自体は表示されているため、クライアントは問題に気づかずに使い続ける。SEOへのダメージが蓄積してから初めて「何かおかしい」と気づくケースも少なくない。

3. 定期目視チェックは工数過多で継続できない

複数クライアントを抱える制作会社やフリーランスの場合、「月1回、各クライアントのサイトをひととおりチェックする」という運用を人手でやろうとすると、クライアントが10社あれば相当な時間を要する。

実際には「なんかあれば連絡が来る」という受け身の体制になりがちで、問題の早期発見ができていないことが多い。


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監視すべきページの種類と変化のパターン

すべてのページを同じ頻度・粒度で監視する必要はない。まず「変化が起きやすい箇所」「変化が起きると影響が大きい箇所」を優先して登録するのが現実的だ。

優先度が高いページ

ページ種別 主な変化リスク
トップページ(/) レイアウト崩れ、キャッチコピーの誤変更、メインビジュアルの消失
問い合わせページ(/contact) フォーム削除・リンク切れ、送信先メールアドレスの変更
サービス・料金ページ 価格の誤記、サービス内容の意図しない変更
採用ページ 募集要項の誤削除、条件の変更
LP(広告配信中のもの) CTAボタンの消失、特典内容の誤変更

変化のパターン別の意味合い

テキスト変化(小〜中): CMS操作による誤記・誤削除が多い。軽微なうちに検知できれば修正工数は小さい。

HTML構造の変化(大): プラグインの更新や、テーマのアップデートによるレイアウト崩れが典型。見た目の変化が大きく、ユーザー体験への影響が直接的。

新規ページの出現: クライアントが勝手にページを追加している場合、サイト構造の把握が追いつかなくなる。保守作業の見積もり精度にも影響する。

外部リンクの増加: 改ざんによるスパムリンク挿入の兆候として最も重要なシグナル。


Compatoを使った実務フロー

複数クライアントのサイトを人手なしで継続監視する手順を説明する。

ステップ1:クライアントごとにURLを一括登録

Compatoでは「ドメイン単位」ではなく「URLページ単位」で監視登録する。1クライアントあたり、まず前述の優先度が高いページ(3〜5URL)を登録するところから始める。

登録後、チェック頻度を設定する。WordPressサイトの場合、クライアントが週1〜2回更新するケースが多いため、「日次チェック」が現実的な粒度だ。

ステップ2:Slack通知を制作会社の作業チャンネルに接続

CompatoはSlack通知に対応している。クライアントごとにチャンネルを分けるか、「サイト監視」専用チャンネルを1つ作って全クライアントの通知をまとめるかは運用次第だ。

通知のポイントは「変化があった時だけ届く」設計になっていること。毎日通知が来るのではなく、実際にサイトに変化が検知されたときだけ通知が飛ぶため、アラート疲れが起きにくい。

ステップ3:変化通知を受けたら内容を確認・クライアントへ先回り報告

変化の通知を受けたら、Compatoの差分画面で変更内容を確認する。

  • 軽微な変化(テキスト修正など): 問題なければスルー、または月次レポートに記録
  • 意図しないレイアウト崩れ: クライアントに連絡し、修正対応を提案
  • 不審な変化(スパムリンク疑い等): 即時クライアントへ連絡し、セキュリティ対応を開始

この「通知→確認→判断」のサイクルを回すことで、複数クライアントのサイト状態を能動的に把握できる。

複数クライアント管理の現実的な規模感

  • フリーランス(クライアント5〜10社): 各社3URLで計15〜30URLの登録が目安
  • 小規模制作会社(クライアント20〜30社): 各社3〜5URLで計60〜150URLの登録が目安

Compatoのスターター(¥1,480/月)で最大15URL、グロース(¥4,980/月)で最大50URLを管理できる。


「サイト変化の先回り報告」が保守契約継続率を上げる

保守契約を継続してもらうために最も効果的なのは「価値が見えること」だ。月額を払っているクライアントの多くは「何もなければ何もしていないように見える」という問題を感じている。

サイト監視ツールを使うことで、変化レポートを月1回クライアントに提供できる

件名: 【サイト月次レポート】○月のサイト変化サマリー

今月の監視結果をお知らせします。

【検知した変化】
- 3/5(水) トップページのスライダー画像が1枚減少を検知 → 確認したところ意図的な更新であることを確認
- 3/12(水) お知らせページに3件の新規投稿を検知 → 正常な更新

【今月の対応】
特に問題ある変化はありませんでした。

【来月の保守予定】
WordPressコアバージョンの更新(現在6.x → 最新版)を実施予定です。

このようなレポートを月1回送るだけで、クライアントは「ちゃんと見てくれている」と感じる。問題がなかった月でも「問題がないことを確認した」という事実をきちんと伝えることが重要だ。

追加受注への展開パターン

変化の検知は、追加受注の糸口にもなる。

パターン1: レイアウト崩れの修正提案 CMS操作でレイアウトが崩れているのを検知 → 修正見積もりを提案 → スポット対応受注

パターン2: 新ページ追加に気づいてリデザイン提案 クライアントが既存テンプレートを流用して新ページを作っていることを検知 → デザイン改善を提案

パターン3: サイト構成の変化を保守更新の根拠に 半年でページ数が増加していることを根拠に「サイトマップの整理・SEO対策」を提案

保守作業の見積もりを出す際も、「現在のサイト状態」を正確に把握していることは精度に直結する。監視ツールが記録してきたページ構成の変遷データは、その根拠として使える。


保守契約のプライシング戦略:監視コストをどう組み込むか

Webサイト監視を実務に組み込む際に避けて通れないのが「コストをどう扱うか」という問題だ。ツール費用を自社で吸収するのか、クライアントに転嫁するのか、あるいは保守プランの価値として見せてアップセルに使うのか——方針によって運用設計が変わる。

保守プランのティア設計例

多くの制作会社が採用しているのは、サポート内容に応じた複数ティアの保守プランだ。監視を組み込む際は以下のような設計が参考になる。

プラン名 月額目安 主な内容
ベーシック ¥15,000〜 CMS・プラグイン更新、月次レポート
スタンダード ¥30,000〜 上記 + サイト変化監視(日次)、異常時の即時連絡
プレミアム ¥60,000〜 上記 + セキュリティ監視、改ざん検知、月1回の改善提案MTG

「スタンダード」以上のプランにサイト変化監視を組み込む場合、ツールコスト(月数千円)はプラン単価で吸収できる。実態として監視を追加することで提供価値が上がり、プランのアップグレード提案の根拠にもなる。

「監視しているから安心です」は売れる

制作会社が保守契約を提案する際、クライアントがもっとも不安に感じているのは「放置されているのでは」という感覚だ。特に月額を払っているのに「何もなければ何もしていない」ように見える状況は、契約継続意欲を下げる。

「監視を自動化して毎日チェックしています」「変化があれば御社より先に気づいてご連絡します」という提案は、クライアントの安心感に直結する。ツールの存在そのものが価値の証明になるため、費用対効果の説明にも使いやすい。


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改ざん被害の現実:検知が遅れると何が起きるか

WordPress製サイトの改ざん被害は、依然として発生頻度が高い。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調べでは、Webサイト改ざんの原因の多くがCMSや関連プラグインの脆弱性であり、特にアップデートを怠ったWordPressサイトへの攻撃は継続して報告されている。

改ざんの典型的なパターン

スパムリンクの挿入: ヘッダーやフッターのHTMLに、目に見えないスパムリンクを挿入される。ページの見た目は正常に見えるが、Googleがスパムサイトとして評価しSEO評価が落ちる。気づかずに放置すると、検索順位が数ヶ月かけて下落し続ける。

フィッシングページの設置: サイト配下に別ディレクトリを作られ、フィッシングページを設置されるケース。ドメイン所有者はまったく気づかないまま、ブラウザからの警告やGoogleサーチコンソールの通知で発覚することが多い。

リダイレクトの埋め込み: 特定の条件(例:検索エンジン経由のアクセスのみ)で別サイトへリダイレクトされるコードを埋め込まれるケース。クライアント自身がブラウザでアクセスしても問題なく見えるため、発覚まで時間がかかる。

こうした改ざんは、HTMLソースや外部リンクの変化として現れる。サイト変化監視ツールを使っていれば、スパムリンクの追加をいち早く検知して対応できる。逆に監視していなければ、SEO評価が落ちてからようやく気づく、ということになる。

改ざん発覚後の対応フロー

改ざんを検知した場合の対応フローをあらかじめ決めておくことが重要だ。

  1. サイトを一時的にメンテナンスモードに切り替え
  2. バックアップから正常なファイルを確認・復旧
  3. 侵入経路(脆弱なプラグイン・テーマ・PHP版等)の特定と対処
  4. Googleサーチコンソールで「マルウェア問題の審査請求」を実施
  5. クライアントへ状況説明と再発防止策の提案

このフローをスポット対応として受注する場合、工数・緊急性によって3〜10万円以上の作業費が発生する。監視によって改ざんを早期に検知できれば、被害が軽度なうちに対処でき、修正コストを最小化できる。


他のアプローチとの比較:なぜ「専用監視ツール」が効率的か

「専用ツールを使わずに同等のことができるのでは」という疑問は自然だ。代替アプローチとその限界を整理する。

Google アナリティクスのアラート機能との違い

Googleアナリティクスでは、「セッション数が前週比30%以上下落したらメール通知」のようなアラートを設定できる。ただし、これはトラフィックの変化を検知するものであり、「サイトの見た目・コンテンツの変化」は検知できない。フォームが壊れていても、直後にアクセスがなければアナリティクスでは気づけない。

アップタイム監視ツール(死活監視)との違い

UptimeRobot等の死活監視ツールは「サイトが落ちているか否か」を監視する。200/503といったHTTPステータスコードの変化には敏感だが、「ページは表示されているがコンテンツが改ざんされている」状況は検知できない。サイトが生きている状態で起きる変化は盲点になる。

手動スクリーンショット比較との違い

月1回、手動でスクリーンショットを撮って比較する運用を続けている制作会社もある。これは「変化に気づく」という目的自体は果たせるが、月1回という頻度では2〜3週間の変化が積み重なったあとに気づくことになる。また、クライアントが増えるほど人的工数が比例して増える。

専用のサイト変化監視ツールは、定期的な自動巡回・差分検知・通知をセットで提供する点で、上記いずれのアプローチとも補完関係にある。死活監視と組み合わせて使うのが実務上は最も効果的だ。


実際の導入事例イメージ:小規模制作会社の場合

具体的にどのような運用になるかをイメージするため、クライアント15社を抱える5人規模の制作会社のケースを例に考えてみる。

導入前の状態

  • 保守契約はあるが、内容は「問い合わせがあれば対応」の受け身スタイル
  • 月次作業は主にWordPressのコア・プラグイン更新のみ
  • サイトの変化に気づくのは「クライアントからの電話」が唯一のきっかけ
  • 年に2〜3回、「いつからかわからないが表示が崩れていた」という事後対応が発生

導入後の変化

各クライアントのトップページ・コンタクトページ・主要サービスページを合計60URLほど登録。日次チェックで変化通知をSlackに集約した。

  • 月1回の「変化サマリーレポート」を全クライアントにメール送付開始
  • 改ざん疑いの通知が1件入り、確認したところスパムリンクの挿入を確認。翌日中に対処完了
  • 変化検知をきっかけに「スライダーのデザインを変えたい」という追加相談を受注

月次レポートを始めたことで「ちゃんと動いている感」が伝わり、保守契約の年次更新時に解約の話が出なくなったという効果もある。こうした「継続率の改善」は直接的な数値として表れにくいが、制作会社の安定収益に直結する部分だ。


まとめ

納品後のクライアントサイト管理において、現状の「問題が起きてから対応する」体制には限界がある。

本記事で整理したポイントを振り返る:

  • CMSを渡した後のサイト変化は、放置すれば積み重なり、問題発覚時には修正コストが増大する
  • 改ざんやセキュリティインシデントは、クライアント自身が気づかないことが多い
  • 目視による定期チェックは、クライアント数が増えるほど工数的に継続できない
  • 監視ツールを使って「変化の先回り報告」をする制作会社は、保守契約の継続率・単価の両方で優位に立てる

月数千円のツールコストを、保守契約の単価に転嫁するかどうかは判断次第だが、「何かあれば連絡してください」から「変化を検知して先にご連絡します」への転換は、クライアントとの関係の質を変える。


Compatoについて

Compatoは、複数のWebサイトの変化を自動で検知し、Slackやメールで通知するサービスです。Web制作会社が複数のクライアントサイトをまとめて監視し、問題を早期発見するための実務フローに組み込めます。

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Compato 編集部

競合サイト監視ツール「Compato」の開発・運営チームです。市場を先読みするための競合インテリジェンス知識を、BtoBセールス・PMM・CSに向けて発信しています。

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